鳥に「おまえ、飛び方まちがってるよ」と語りかける宮崎駿…ジブリに勤めた舘野仁美の回想記など“知らなかった世界を覗く3冊”(書評)

 ブックバン      7/15(火) 6:00

 


 

 いや、知らなかった。 『エンピツ戦記 誰も知らなかったスタジオジブリ』は、日本屈指のアニメーション制作会社に約四半世紀属した舘野仁美の回想記である。ジブリの歴史が詳細に語られ、宮崎駿の肖像が活写されていく。嫌味のない語り口は、構成を担当した平林享子の功績だろう。  舘野の担当は動画チェックだった。絵が自然に動くように描かれているか確認し、修正する仕事だ。アニメーションというと原画に目が向きがちだが、それをどう動かすのかが大事なのだということを改めて認識させられた。気の遠くなるような質と量の作業により、初めて絵は動くのである。  宮崎が持っていた独自のこだわりについてもたびたび言及される。本物の鳥に「おまえ、飛び方まちがってるよ」と語りかけたという。宮崎の理想とする動きで飛ばなかったのだ。雲待ちで撮影を中断したという黒澤明を私は連想した。  単行本刊行から文庫化までの十年間に舘野が何をしてきたかという手記が巻末に付されており、それを読んでまた驚かされた。なんと力強い人生なのだろうか。いや、知らなかった。

 

  

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