「アベノミクス批判」を経済学者がデータと理論で徹底的に批判! 異次元緩和を見事な手際で検証した一冊(書評)
ブックバン 6/30(月) 6:00
日本の長期停滞を90年代から今日まで続く「失われた30年」だとする評論家や経済学者を見かける。また「アベノミクスの異次元緩和は副作用が大きい」という反論も目立つ。日本銀行の財務状況が悪化し、物価高の原因となる円安をもたらした、というのが主な副作用だ。またこの種の「失われた30年」論の多くは、長期停滞を人口減少のせいだ、としている。 原田泰『検証 異次元緩和』は、これらの意見すべてをデータと理論をもとに徹底的に批判する。その手際は見事だ。「失われた30年」論者の狙いは、アベノミクスによる10年余の異次元緩和を否定したいのだろう。だが、金融政策は雇用の継続的な改善をもたらし、またGDPの拡大や経済格差の縮小を達成、なによりも自殺者数を減少することで人命を救った。 異次元緩和の効果を認めても、副作用があるという者もいる。本書は、日銀の財務シミュレーションを行って、副作用はあっても問題ないレベルだ、とした。むしろ経済が安定的に成長するまで、利上げといった出口政策は慎重にすべきだ。 エネルギーや食料品の価格上昇はコストプッシュなので、異次元緩和のもたらした円安の影響は限定的だ。むしろ異次元緩和をやめていたら円高で日本経済は確実に低迷しただろう。人口減少がデフレをともなう長期停滞をもたらしたという仮説もこれでもか、というほど徹底的に批判している。金融政策の真価を知りたい人に大いに役立つ。 [レビュアー]田中秀臣(経済学者) 協力:新潮社 新潮社 週刊新潮 Book Bang編集部 新潮社
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