【意外】日本で中華料理が広まったのは洋食より後だった 日本式中華料理の由来・変化・分化・土着化をひもとく(書評)
ブックバン 7/18(金) 6:00
懐かしき古き町中華が流行り、目新しき本場式ガチ中華が流行る。一等地の飯店餐庁ではなく下町の食堂菜館が出すローカルでカジュアルな中華が新旧そろって人気なのが貧しき安き国の今だとして(ああ聘珍樓)、ニッポンで中国由来のうまいものが普及したのは関東大震災後の百年。維新後に明治帝の洋装肉食から広まった洋食より遅い。
なんてことから教えてくれる『中華料理と日本人』は、ニッポンならではの中華の来し方を辿る歴史の書。拉麺餃子焼売肉饅麻婆豆腐に烏龍茶その他いろいろに1章1節ずつを割いて、由来から変化や分化、土着化までを繙いていく。 グルメ蘊蓄の書ではないのは著者の岩間一弘が東アジア史の研究者だから。長らく仰ぎ見てきた中華帝国を日清戦争以降は見下すようになった大日本帝国、その両帝国が革命と敗戦で瓦解して……という机の上の日中正史と卓の上の日中食史とが絡み合うことを示されると、嫌中派や媚中派はメシが不味くなると怒り出すかもしれないが、どちらでもないワタシやアナタは知的満腹感を味わえる。 ジンギスカンの来歴を知れば、起源を中華帝国よりさらに先の蒙古帝国、テュルク帝国にまで遡れないかと妄想が湧くし、英仏にもカレーやクスクスなど植民地由来の名物があるけれど、その現地化に宗主国側の人間が熱心に取り組んだ例は日式中華くらいだと聞かされれば不思議に嬉しくなるしで、ホントお腹いっぱいです、いい意味で。 [レビュアー]林操(コラムニスト) 1999〜2009年に「新潮45」で、2000年から「週刊新潮」で、テレビ評「見ずにすませるワイドショー」を連載。テレビの凋落や芸能界の実態についての認知度上昇により使命は果たしたとしてセミリタイア中。 協力:新潮社 新潮社 週刊新潮 Book Bang編集部 新潮社
.jpg)
コメント
コメントを投稿