日本が陥る「新型インフレ」とは? 経済過熱ではなく“モノが不足して起きるインフレ”への対処法(Bookレビュー)

 ブックバン     8/19(火) 6:00

 


 

 

 長期のデフレの後には、新型インフレが日本経済を待っていた。賃金が上がってもインフレの方がひどいので、生活が楽にならない。電気・ガス代からお米の値段といった日常の食料品まで高騰している。デフレの時代が長かったので、時間が経てば物価が下がるだろうと国民の多くは待ちの姿勢になる。そうなると消費が低迷して、人々の貯蓄が増えて、日本経済は停滞したままになる。永濱利廣『新型インフレ』は、コロナ禍から始まる物価の動きを見事に解明している。

 

 新型インフレの核心は、コストプッシュ型であることだ。ウクライナ戦争による食料やエネルギーの不足と円安によって輸入価格が上昇したのが始まりだ。輸入価格は足元では落ち着いているが、他方で天候悪化によってお米など食料品の不足は継続している。  簡単にいうとモノが不足してインフレが起きているのだ。経済が過熱して起きるディマンドプルインフレとは違う。経済が過熱するにはほど遠い状況だ。しかし政府は減税など積極的な財政政策に消極的で、また日本銀行は経済過熱を抑制するときに行う利上げスタンスを採用している。これはきわめて奇妙な経済政策への態度だ。  本書では、高圧経済を推奨している。減税などの財政政策とそれを支援する金融政策によって、景気を過熱気味にし、弱い立場の労働者にも恩恵が及ぶことで生産性が向上する、という政策だ。本書には物価を正しく見る視点がある。 [レビュアー]田中秀臣(経済学者) 協力:新潮社 新潮社 週刊新潮 Book Bang編集部 新潮社  

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