『源氏物語』は怪談としても最高傑作! 吉田悠軌が紹介する「教養としての名作怪談」3選(Bookレビュー)

 ブックバン      9/2(火) 6:00

 


 

【源氏物語】千年前の「生霊」に学ぶ嫉妬と愛憎劇

【三種の神器】「怪談めいたエピソード」に隠された日本の歴史

皇位の証とされる三種の神器、八咫鏡(やたのかがみ)・草薙剣(くさなぎのつるぎ)・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)。 その存在は謎に包まれており、誰も見てはいけないとされています。 実際に、神器を祀る神官が不吉な目に遭ったり、天皇が神器にまつわる禁忌を破り、災いに見舞われたりする話が残されています。これらの話は、神器が単なる宝物ではなく、日本という国にとって、そして古来の日本人にとって、畏怖の念を抱くほどの神秘的な存在であったことを示唆しているのではないでしょうか。 また、とにかく異説が多い点も見逃せません。真偽を含めた複数の言説があり、それらが語られるほど、三種の神器の力が増していく。これこそ、まさに怪談とよく似たメカニズムです。 誰も見てはいけない日本最大の禁忌は、数多くの人に語り継がれつつ、いまもなおベールに包まれています。 <POINT> ・皇室に伝わる鏡・剣・勾玉がどのようなものか天皇すら知らない。 ・神器の由緒や継承についての記録は、各文書によって主張が異なる。 ・それら神器を見るのは絶対の禁忌とされ、祟りめいた怪談も多い。

【鍋島の化け猫】武士社会の暗部を映し出す「化け猫」伝説

「鍋島の化け猫」騒動は、江戸時代から語り継がれてきた、誰もが知る有名怪談。鍋島藩主と龍造寺家の家臣との間の確執を「化け猫」という怪異現象を通して描かれた物語です。 実は、この話はさまざまな形で文章化・演芸化されており、現在でも幾多のバージョンが存在しています。『教養としての名作怪談』では、長大な物語の中から、特に怪談的な要素を凝縮してまとめました。 いずれのバージョンにも共通するのは、当時の社会の暗部を「化け猫」を通じてあぶりだしていること。武士社会における権力闘争や主君への不満、藩内の不穏な空気など、人間関係の複雑さや社会の歪みを浮き彫りにする怪談なのです。

鍋島の化け猫は、怖い話であると同時に、当時の世相や人々の心理を読み解くための貴重な歴史資料と言えるでしょう。 <POINT> ・佐賀藩主・鍋島家を化け猫が襲った有名怪談で、多くの異説がある。 ・大きくは「老猫の祟り」「龍造寺家の怨霊」の二系統に分かれる。 ・様々な怪談が混ざり合い、近代以降もたびたび作品化された。 [レビュアー]吉田悠軌(怪談作家・怪談研究家) 1980年東京都生まれ。怪談作家、怪談研究家。早稲田大学卒業後、ライター・編集活動を開始。怪談サークル「とうもろこしの会」の会長をつとめ、怪談の蒐集と語り、さらにはオカルト全般の研究をライフワークとしている。伝説的なオカルトスポット探訪マガジン『怪処』の刊行や、「クレイジージャーニー」(TBS)では日本の禁足地を案内するほか、月刊ムーでの連載やYouTubeなど各メディアで活動中。著作に『中央線怪談』、『現代怪談考』、『一生忘れない怖い話の語り方』、『禁足地巡礼』、『一行怪談』、『煙鳥怪奇録』(共著)など多数。 協力:ワン・パブリッシング GetNavi web Book Bang編集部 新潮社  

  

 

 

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