佐野寿宏のBOOKブログ!還暦を迎え「隠れメタボ」を指摘された男性作家が「筋トレ」を決意! ほとんどの人ができない「継続の秘訣」に気付く(Bookレビュー)

 ブックバン    9/14(月) 6:00

 


 

 

 宮田珠己のエッセイを知ったのは二十世紀末。ふらふらと散歩したり、奇妙なウミウシを観察したり、世界中のジェットコースターに乗りまくったり、各地の巨大な仏像を訪ねたり、お気に入りの石ころをただ探しに日本中を彷徨(さまよ)ったり。緩い文章が心地いい。気づくといつの間にか三十年が経っていた。  気ままな文筆家だと羨ましく思っていた著者が還暦を迎えたと読んで驚いた。当たり前だが人間は毎年一つずつ律儀に年を取る。自分だけが若くいられるわけじゃないし、好きな作家やミュージシャンも老人になる。誰もがピーターパンではないのだ。我が身でさえ、いつの間にこんな年に? と思う。

 

 隠れメタボを指摘された著者が「筋トレをしなければ」と突如決意したのが本書『衰えません、死ぬまでは。』(幻冬舎)の始まりだ。体力が坂を下りはじめている。その先が崖だった。心配になって病院で診察を受けたら「ただの老化」と言われたそうだ。  一般的に四十代後半から目の霞み、肌荒れ、髪の抜けやすさが心配になって病院に行くと診断は「ただの老化」。食い止める術はないのか、と誰しも思う。そして最初に思いつきがちなのが「筋トレ」だ。  実は私は二十代からスポーツクラブ通いをはじめた、かなりのスポーツオタクである。体を動かすのが好きだから続いているが、継続の秘訣は、ルーチンワークとして毎日ちょっとずつ行うこと。しかしほとんどの人はそれができない。  宮田珠己という稀有なエッセイストも、その秘訣に気づくまで相当な時間がかかっている。でも還暦で気づいてよかった。平均寿命まであと20年以上ある。死ぬまで衰えたくない。共感するなあ。  できないことが増えていく老化。しかし新しいことに気づくのもまた加齢の恩恵だ。悲観しない。世界に合わせて生きていく。宮田珠己のエッセイはまだ発展途上にある。 [レビュアー]東えりか(書評家・HONZ副代表) 千葉県生まれ。書評家。「小説すばる」「週刊新潮」「ミステリマガジン」「読売新聞」ほか各メディアで書評を担当。また、小説以外の優れた書籍を紹介するウェブサイト「HONZ」の副代表を務めている。 協力:新潮社 新潮社 週刊新潮 Book Bang編集部 新潮社  

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